
「グアドループは/をあらゆる場所に グレース・ジェネラル(グレーヴ・ジェネラルつまりゼネストの言い換えで、グレースとはギリシャのこと)」
19日午後パリでの研究者・教員・学生によるデモ(30000人)ののち、およそ250名の学生がソルボンヌ大学を(ついに!)占拠した。この大学占拠は、フランス海外県グアドループでゼネストを決行している人々・ギリシャで蜂起している人々に連帯を表明するため、そのゼネストや蜂起にたいする連帯行動をフランス全土に呼びかけるため、そして大学改革に反対するためのものであり、占拠はいま(夜中)も続いている。世界を唯一のものとして構想する学生たちの想像力、動的編成に胸がときめく。学生の学生への生成変化とはこうしたものだろう。今夜、パリの学生たちは最高だ。
ところでいまフランス改革反対の声をあげる研究者・教員・学生のあいだでは17世紀小説『クレーヴの奥方』(1678)が空前のブームである。ラファイエット夫人の『クレーヴの奥方』超いいよねー、と。これには経緯がある。大統領選挙中のサルコジが「こんな小説読んでなんの意味があるんだ」などと発言をしたその翌日、カルチエ・ラタンの書店には『クレーヴの奥方』を求める客が殺到した。さらに、サルコジが大統領に就任したさい、大統領官邸エリゼ宮には大量の『クレーヴの奥方』が方々から送り付けられたという。先日の改革反対フラッシュ・モブでは、多くの参加者が『クレーヴの奥方』を携えて登場した。つまり『クレーヴの奥方』は今回の大学運動、大学ストのシンボルともいえる存在なのである。ストライキの中心に文学があり、さらにいえば、文学の中心にストライキがあるのだ。
世界を分断する資本主義・改革ではなく、文学とともに世界の一義性を構想する学生たちが正しい。文学とともに、分断された世界を新たに編み直すのは誰にとっても楽しい。