2008年9月29日月曜日

楽園から吹いてくる風

僕は、「大学が世界にぜったいに必要だ」という考えに得心がいくまで、
約15年かかりました。
70年代以降、がっちり構築されたサミット体制の30年間の長いながい呪縛は、
僕の人生も もれなくきちんと覆い尽くしていたわけです。
そしていま 「変節」(倒錯)を経て事新しく考えることは、
大学の問題を考えるときに「理念」(制度や組織や建物としての「大学」ではなく、いまだ到来しない「明日の/条件なき大学」)が求められるのと同じように、
僕が人生の問題を考えるときには「大学」が必要なんだ、ということです。

僕が大好きなバーが新宿にあって、
このまえそこに行って やっぱり僕が大好きな店主にひさびさに会って、
すると彼は 三浦展という腐れマーケッターのひどい新書(『下流大学が日本を滅ぼす!』)を読んでものすごく傷ついていました。
ケツ吹く紙にもなりゃしねえや!
大学の崇高と 運動の愛とをともに生きている天使(クレーの天使)だから、
マーケッターのうす汚い言葉が心底こたえるんだろう。
マーケッターの垂れ流す言葉はだれのことも幸せにしない。

字義通りの「福祉」の再生をめざして、
「自立生活サポートセンターもやい」のみなさんはすごく大変な苦労をされているわけですが、
きのうある人から、「でも まだしも生活保護法という法的根拠があるわけだよね。大学の話は法的根拠すら無いって言い張られるからね」と言われました。
それはそうかもしれない。というわけでまずは、にっほん政府には、
① 国連人権規約13条2項c「高等教育の漸次的な無償化」に批准する。
② 大学憲章(マグナカルタ)に署名する。
というところからやってもらいたい。
そのうえで、いっこいっこ「カネ出すか出さないか」を揉めようというのなら、受けてたとうじゃん。
ほんとは「出せ」としか言いたくないけどさ。あたりまえのことだし。
でも俺は寛容だから、手前たちの大好きな「グローバルスタンダード」に達するのを待ってやってもいいよ。かわいそうだから。

30年は長かった、けれど僕たちは、
未来が流入した現在を、再生の時を生きています。
「楽園から吹いてくる強風は天使を、かれが背を向けている未来の方へ、不可抗力的に運んでゆく…
ぼくらが進歩と呼ぶものは(この)強風なのだ」(ベンヤミン「歴史哲学テーゼ」)

ちょっと昔じゃなく、ものすごい昔のことをもっと知りたい。
中世のボローニャに群れ集ってくる不良学生と不良教員の連帯が
すでにスユ+ノモに体現しているのと同じように、
僕たちの街路にも 潜在的な過去がさまざまの「新しいもの」をつけくわえてゆくだろう、
そして未来からの、素人/愛好者たちの乱入が
「大学」の概念の刷新と拡充をはたしてゆくだろう。

2008年9月11日木曜日

われ天の邪鬼なり

われ天の邪鬼なり
きゃぴたるの四隅をまもるえすぴーにふみつけらるる煩悩の徴にて
過剰なものなり
名の「天」は記紀の由来にもとづくなるといへども
空かける過剰とぞわれらよばむ

ぽりこうけちらせ がらすわれ らくがきかませ
すとぶちあげろじどうしゃもやせ
うたえ はたをかかげろ
よこしまなもののよろこびのために

2008年9月4日木曜日

パリの恋人へ

パリの恋人よ 調子はどう?
部屋は片づいた? くつろげるカフェやおいしいレストランはみつかった?
タバコが買いにくかったらいつでも言ってくれ、
カートンをEMSで送るから。
あれ、タバコって送れないのかな?
僕たちの先輩は、あいかわらず「タスポ」の見本をポケットに入れて歩いて、
「これを出せば買えるはず」と言いはっています。
いったいだれを笑わせようとしているんだろう?)

僕は今日、憂鬱な気持ちでこれを書いています。
大学と書物をめぐる世界は 隣組みたいのに包囲されていて
パノプティコン的ブログが恐怖政治を敷いている。
僕たちの愛する友は、己の矮小さに脅えてはキャンキャン吼えたてる小型犬のようなファシスト野郎にいじめられて
僕はすごく頭にきたけど それでも彼はあいかわらず頑固で、「好きに生きる」と言っていた。

東京はまだ暑い!
こちらでは三浦展がひどい。あと、また首相が「辞めたい」と言って辞めた。
漫画オタクの脳足りんか、都知事のバカ息子か、はたまたマッチョ寿司女か?
もう手詰まりとかいう段階じゃなくて、あまりのひどさに笑ってしまう。
きっとファシストは いまこそ「世にも高潔な政党」の出番だとか本気で思ってるんだろう。
それからDの『対話』の新訳が出たので、買っていま読んでいます。
仕事でつきあいのあるとあるオヤジは「なぜ旅に出ないんだ?」「沖縄に行ってみろよ」とか言いつのるんだけど、
ベッドに寝転がって『対話』を読めばいつでも すずやかで熱いノマドでいられる。

君の まるでこの世に居ないかのような瞳をおもいだしながら
あとすこし 秋までの日をぐずぐず過ごそうと思います。

どうかパリの君にすばらしい幸福が訪れていますように!