2008年7月18日金曜日

学費はなぜタダであるべきか

さいきんサミットとか朝日にむかついていて忙しく、
学費ゼロ」についてちっとも書けていなかった。
エリートがはりきると きわめて迷惑な事態が生じるということの恰好の例であろう。

以下、白石嘉治・大野英士編『増補 ネオリベ現代生活批判序説』という本から、
「学費ゼロ円へ」の章を抜き書きする。
しばらくはこれを少しずつやろうと思っています。

「痛快! 学費ゼロ学」(古)開講です。

●国連による学費無償化の勧告
 去年(2006年)、日本は国連人権委員会から勧告を受けていました。それは「高等教育の無償化」に関してです。勧告っていうのは一番重い処置です。国際人権規約っていうのは当たり前のこと、子どもを虐待しちゃいけないとか、拷問はだめだとかいうことが書いてある。しかし日本政府は、国際人権規約の13条2項c「高等教育の漸次的な無償化」については保留しているんです。人権規約自体には日本もサインアップしていますが、この2項cに関しては保留し続けている。他に保留している国は、ルワンダとマダガスカルだけです。ルワンダは1990年代にフツ族とツチ族が内戦した国です。マダガスカルは世界最貧国で、政府が正常に機能してない。そしてあとひとつが日本です。国連から日本に対して非常に強いプレッシャーがかかっているわけですが、国連のロジックはこういうことです。つまり、大学を有償化したら、当然のことながら、人々が役に立つ学問しかしなくなるということです。高等教育は学問の問題、人類にとっての問題である、というわけです。どの国にも、一生懸命勉強する人、しない人、両方いますよね。でも相対的に貧しい国だと、どうしても多くの人が実学的な学問に向かってしまう。5年10年で結果を出せるような学問ですね(たとえば理工系)。相対的に豊かな国、G8に入っているような国では、もうちょっと長い視点でみて「結果」が出るようなことをしてほしい。たまたま日本に生まれた学生には、そんなセコい行動取ってほしくない。それが人類史的によいことのはずだ、と。国連はこういう意味で非常に強い勧告を出してきているわけで、このように「高等教育の無償化」というのは、地球規模でみたらあたりまえの話なんですね。

みなさん、知ってましたか? 日本は「ふつう」じゃないんです。アノマリーなんです。

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